小池 光子
アー写を撮る
アー写、というのは「アーティスト写真」の略です。
つまり宣材写真ですね。
このwebサイトに使っているわたしのおすましの写真、アレのことです。
きちんとしたアー写を撮るのは5年以上ぶり、ひとりだけで撮影をしたのは、もう10年以上ぶりです。
まず、今回はどんな写真にするかを一緒に考えてもらうため、古い友人の村上亜沙美にディレクションを頼みました。
彼女はデザイナーであり製本家。本を綴じたり、文字を作ったり眺めたりするのが大好き。
出会ったのは15年前、初台にあったバーで。以来の飲み仲間です。
浜松にある彼女の家へ、ひとり新幹線に乗って遊びに行きました。
「みっちゃんこれ知ってる?」と言って、レコードを聴かせてくれた。
Molly Drakeのレコードでした。
Nick Drakeのお母さんであるモリーが若かりし頃、自作の曲を記録してあったものを音源化した作品。
このジャケットに使われているモリーの写真がなんとも良くて、魅入られてしまいました。
ひとりの女性が、凛として自由な雰囲気をまとって映るポートレート。
そんなものを撮ってみよう、子どもの頃から変わらないみっちゃんが入っていながらも、大人になったわたし、いまのわたしを撮ってみようと、ふたりの意見が一致しました。
撮影をお願いしたのは、神ノ川智早さん。
以前松本野々歩ちゃんに呼んでもらって、ビューティフルハミングバードで演奏をしに行った立川のロバハウスで出会った方です。すごく柔軟で優しいのだけど、太く大きなたくましさも持ってる印象。
やっぱり写真を撮るのならお化粧もしようかなってことで、高塚yoshicoさんに頼みました。
西荻窪でjouer a cache cacheという美容室を営む傍ら、SHISEIDOのメイクアップチームでパリコレにも(パリコレって初めて文章に書いたよ)行っている実力派のメイクアップアーティストです。二児の母。
これにマネージャーであるわたしの妹が加わって、撮影スタジオは女5人の現場になりました。
この仕事をして以来、わたし以外は全員男、なんていうのはザラだったけど、
女のひとしかいない現場は初めてでした。

たくましいし、トントンと仕事できるし、おとなで、感じがよくて、みんな美しかった。
わたしひとりが何もせずまァ感心しきりで、ぼんやりと写真を撮られておりました。
和やかに、かつ、ぴりりとしっかり(わたし以外が)仕事して、2時間で撮影終了、
まだ外は明るく、みんなでわたしの好物、羊肉を食べに行きました。
そんなこんなで出来上がった写真が、このサイトの各ページにあります。
それなりに歳をとり、それなりにシワもたるみも得ておりますが、ここまで生き延びてきた証拠でしょう。
さらに美人不美人の如何については議論の余地もないことですが、
なかなか憎めない顔になってきてるじゃないか、と自分では思っております。
Molly Drakeのレコード、中身もとても素晴らしいです。
うれしいのと悲しいのと、両方の気持ちが綯い交ぜになって満ちてきます。
歌っていいものだな、人生っていいものだなあ、と思います。
